うつ病/躁うつ病
うつ病/躁うつ病
当クリニックでは患者様の意向を最大限に尊重しながら、患者様本人、家族の社会的損失や経済的損失が最小限となるように意識してうつ症状の回復まで寄り添います。妊娠や出産を今後考えており、精神科の薬を内服することに抵抗がある患者様はいらっしゃいますし、今だけは休職することができない事情をお持ちの患者様もいらっしゃいます。個々の事情を汲み取り、妊娠出産に影響が極めて少ない薬や漢方薬を用いた治療方針を提案することや、休職期間を柔軟に対応することも可能です。精神科の薬を内服していただく際には、うつ病治療ガイドラインに沿った標準的治療を提供いたします。特に再発を繰り返しているうつ病や躁うつ病(双極性障害)の患者様は良い状態を維持するために内服の継続が必要なケースもあります。当クリニックでは長期の服薬で体に負荷が掛かっていないか、内服している薬が体の中で適切な濃度で最大限の効果が出ているか確認するために定期的な血液検査のご案内をしています。
うつ病はほとんど毎日気分の落ち込みが持続しており、今まで楽しかったことを楽しむことができない状態です。朝に理由なく涙が出てきて仕事や学校に行けなくなることや、頭がまわらなくてケアレスミスが増える、時間内に仕事が終わらない、何かおかしいと思って病院に受診される方がいらっしゃいます。パフォーマンスが下がった状態が続きますと物の見方や、考え方がネガティブになることもあり自己肯定感の低下に繋がることがあります。倦怠感が強く、動き出すのに時間が掛かってしまう、疲れやすいが夜になると寝付けなくなる、何度も目が覚めてしまうといった症状もうつ病の可能性があります。この様な症状が当てはまる方は早期に精神科、心療内科への受診をお勧めします。肝臓や甲状腺といった臓器の異常から、うつ病によく似た症状が現れることもありますので初診の際には血液検査を行い、体に問題がないことを確認する必要があります。
うつ病の基本的な治療は“薬物療法”と“休養”の二本柱となります。うつ病は心の病気では無く、脳の病気であり、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の幸せホルモンが不足して起こります。治療としては抗うつ薬と呼ばれる脳内の幸せホルモンを増やす薬を内服します。抗うつ薬は痛み止めの様に内服を開始してすぐに効果が出ないことが特徴で毎日継続的に内服した場合でも気分の落ち込みや悲しみが改善するまでに4週間程の時間がかかります。また内服直後はお腹が緩くなったり、胃がムカムカする副作用を認めることもあるので少ない量から開始したり、副作用を抑える薬を一時的に処方することもあります。先に説明しましたが抗うつ薬の効果が出るまでの期間は補助的に安定剤をお出しすることもあります。不安感や焦燥感、緊張感に即効性があり不眠症状の早期改善が期待できます。
休養もできる限り早期にとっていただくことが望ましいですが、社会人の方や学生さんは難しい事情もあると思いますので患者様一人一人の状況に合わせて休養をご提案します。この仕事の引き継ぎが終わってから…定期考査が終わってから…といった個別の事情にも配慮しますので遠慮なく仰ってください。
長期的に精神科の薬を内服することに抵抗がある方も多いと思います。症状が改善して急に服薬を中断されるとうつ症状の再発リスクが上がるため、再発を防ぐためには最低でも6か月間は服薬を継続し、状態が安定していることを確認してゆっくり減薬を行うことが推奨されます。当クリニックでは初発のうつ病の患者様には薬を飲まなくても元の生活に戻れる様に取り組んでいます。
うつ病は気分障害の一つですが、気分障害にはうつ病との鑑別が必要な双極性障害(うつ状態と躁状態を繰り返す病気)などがあります。また、うつ病は他の精神疾患を合併することも多いのでうつ病の症状が出たときは専門の医療機関への受診をお勧めします。
双極性障害はハイテンションで活動的な躁状態と、憂鬱で無気力なうつ状態を繰り返す病気です。躁状態のときには、患者様自身は気分爽快で、頭が冴えわたりクリエイティブな状態となり画期的で独創的なアイディアが浮かんできます。交友関係、異性交遊が派手になることや、浪費や高額商品の契約など過活動となります。睡眠欲求が減少し、なんでもできる、万能感に包まれ心地の良い状態となります。時にイライラや攻撃性を伴う場合もあります。この様にエネルギーが過剰な状態は長く続くことはなく、数日から数週間でエネルギー切れの状態となり、次第に憂鬱で無気力、食事や入浴も億劫でできない状態となります。双極性障害はエネルギーが過剰な状態と、日常生活に支障が出るほどガス欠の状態を数日から数週間のサイクルで繰り返すことで日常生活が破綻していることが特徴です。エネルギー過剰な状態と、ガス欠の状態の振れ幅には個人差があり、学業や就労の継続が困難な程、その振れ幅が大きい場合もあれば、少しテンションが高くてクリエイティブな元気な期間とやる気が低下したモチベーションの低い期間が見られる程度であり学業や就労はなんとか続けることができている、日常生活に支障が出ない範囲で小さな振れ幅を認める場合もあります。
躁うつ病(双極性障害)の患者様は一般的にはエネルギーや気分の振れ幅を抑える作用のある気分安定薬と言われる精神科の薬を内服してもらうことが多く、気分の浮き沈みが落ち着いた後も服薬を継続してもらう必要があります。薬がしっかりと効いていることを確認するために定期的な血液検査も実施していきます。
うつ病も躁うつ病(双極性障害)も早期に適切な治療を行うことで社会的な損失を最小限にすることができます。当クリニックでは患者様一人一人の事情を踏まえて、負担を最小限にした医療を心がけていますのでつらい気持ちをお一人で抱え込まずいつでもご相談ください。当クリニックは土日も診療を受け付けしていますので復職後の定期通院も便利ですし、定期的に通院加療を行うことで長期的に症状の安定を期待することができます。