発達障害(ASD・ADHD)
発達障害(ASD・ADHD)
日々の生活の中で、他者との違いに悩み「自分は発達障害なんじゃないか」と悩むこともあると思います。当クリニックではASD(自閉スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥多動障害)を中心とした発達障害の診断、治療を積極的に行っています。学校や職場での人間関係で悩むことが多かった、パートナーと良好な関係を構築することができない、真面目にやっていても評価されない、長年生きづらさを抱えている方の背景に発達障害が隠れていることも珍しくありません。最近では特にADHD(注意欠陥多動障害)をご自身で疑って受診するケースや、周囲の人から指摘を受けて医療機関へ受診されるケースが増えてきています。当クリニックではアトモキセチン(商品名:ストラテラ)やグアンファシン(商品名:インチュニブ)に加えてメチルフェニデート(商品名:コンサータ)の処方が可能な医療機関となっています。
発達障害は、大きくASD(自閉スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥多動障害)、LD(学習障害)、MR(知的障害)の4つのタイプに分けられます。これらは単独でその特徴がある場合もありますし、複数のタイプの発達障害が合併していることもあります。これらの疾患に共通していることは、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点ですが、早期の段階で患者本人の生きづらさをご家族や周囲の支援者が理解し、それに適した療育(治療教育)や薬物療法を行うことで、ご本人の力・自信を伸ばし、周囲の人ともよい関係性を築くことができるようになります。特にASD(自閉スペクトラム障害)でみられるイライラや興奮には薬物療法が有効であり、ADHD(注意欠陥多動障害)で見られる不注意や衝動性にも薬物療法が有効です。LD(学習障害)にADHD(注意欠陥多動障害)が合併しているケースではメチルフェニデート(商品名:コンサータ)が有効なケースもありますが、LD(学習障害)のみのケースには薬物療法は期待できず、保険適応はありません。MR(知的障害)に対して根本的な機能向上を促す薬物療法はありませんが、衝動性やイライラ、興奮に薬物療法が効果的な場合もあります。
当クリニックではASD(自閉スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥多動障害)、LD(学習障害)が主な対象疾患です。
ASD(自閉スペクトラム障害)とは、過去には自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと呼ばれていた発達障害の総称です。生まれつきの脳機能の障害から生じる発達障害の代表的な疾患で、特性の強さや現れ方は一人ひとりで異なります。
典型的な特徴としては、対人関係やコミュニケーションが苦手、言語発達の遅れということがあります。コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやり取りをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。もう一つ重要な特性として、興味が狭い範囲に集中しやすく、周囲に関心を払うことが難しいということがあります。特定のことに強い関心を持っていたり、こだわりが強かったりということは、ASD(自閉スペクトラム障害)の代表的な特徴の一つです。その他にも、感覚の過敏さ、運動の不器用さなど、様々な特性がみられることがあります。一般的に、乳幼児期には精神発達・運動発達の遅れや感覚過敏などが主な特性としてみられ、早ければ乳幼児健診でその可能性を指摘されることもあります。児童期以降では学業や日々の生活、周囲との関係がより具体的な課題としてみえるようになります。
日本では、幼児期からの早期支援が活発に行われる地域が増えており、支援を受けたことで、自閉スペクトラム症の特性がありながらも、充実した社会生活を送っている方がたくさんいます。一方、自閉スペクトラム症は、「特性から生じる問題」のほか、過剰なストレスや失敗体験が引き金となって「二次的な問題」が生じることも少なくありません。特性がごく弱い人でも、きちんと対応を受けないでいると、周囲の人との違いに悩んだり、誤解され孤立したりし、二次的な問題として身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振など)、精神症状(不安、抑うつ、緊張、興奮しやすさなど)、不登校やひきこもり、暴言・暴力、自傷行為などに発展する可能性があります。
ADHD(注意欠陥多動障害)は生まれつきの脳機能の特徴であり、不注意、多動性、衝動性の3つの主症状によって定義された発達障害のことです。
「不注意」の症状は、学校の勉強などでミスが多い、課題などに集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、最後までやりとげることができない、作業などの段取りや整理整頓が苦手、集中力が必要なことを避ける、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、などがあります。「多動性・衝動性」では、落ち着きがない、すぐに席を離れる、座っていても手足をもじもじする、おとなしく遊ぶことができない、しゃべりすぎる、順番を待つことができない、他人の会話やゲームに割り込む、などが認められます。
ADHD(注意欠陥多動障害)の基本的な治療目的は、これらの症状を完全になくすことではなく、特性と上手く付き合っていく工夫を見つけることや、特性に合わせて環境を調整することで二次的問題(抑うつ感や引きこもり、逸脱行動など)を防ぎ、生きづらさを緩和して本人の成長を促していくことです。心理・社会的療法を中心とし、必要に応じて薬物療法を併用しながら治療を進めます。
LD(学習障害)とは、全般的な知的発達には問題がないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」など特定の能力のみに困難が生じる発達障害のことです。人によって症状の現れ方が異なったり、意識しないと気づかれにくかったりと、診断が難しい障害でもあります。目安として、学校での学習到達度に、1~2学年相当の遅れがあるのが一般的です。読字障害は、文字は読めますが、文章を読むのが極端に遅かったり、読み間違えたりすることがよくあります。書字障害は、文字を書く、文章を綴るといったことが難しくなります。算数障害は計算や推論することが難しいです。過去には著名な映画俳優がLD(学習障害)であることをカミングアウトして話題になりました。“p”“q”“b”“d”の区別がつかないため、文章を読むことができず台本を覚えることに苦労したそうですが、適切な支援を受けることで患者本人の才能を伸ばし、社会的に大成されました。ADHD(注意欠陥多動障害)が合併するケースでは薬物療法が有効なケースもあります。
生きづらさを抱えている方の背景に発達障害が隠れていることは珍しくありません。当クリニックでは15歳以上の児童の診察も行っていますのでお子様の発達に気になる点がある場合には、できるだけ早めにご相談ください。早期からその子の特性に合った支援を開始することで、二次的な問題を防ぎながら発達を促すことができます。平日は学業や仕事があってクリニックの受診が難しい方は土曜日や日曜日の初診受付をしていますのでいつでもご相談ください。