統合失調症
統合失調症
統合失調症はある日突然、幻覚妄想状態となり発症する病気では無く、発症前に疲れ易さや不安、不眠、強迫行為、感覚過敏、イライラなどの前駆症状を伴う場合があります。このような前駆症状は他の精神疾患に誤診されるケースもありますので正しい診断と早期の治療導入が長期的な予後を左右します。統合失調症の発症から初めて医療機関に受診するまでの期間“精神病未治療期間”は平均して1-2年を要します。当クリニックでは患者様が困っているときに月曜日から日曜日までいつでも相談、受診ができる環境を提供し、未治療期間を少しでも短縮できるように取り組んでいます。統合失調症は再発と治癒を繰り返すことで社会復帰に時間がかかることが知られており、当クリニックでは再発予防効果の高い持効性注射剤の導入も行っています。持効性注射剤の導入は定期的に薬を飲むことが困難な患者様や、再発や入院を繰り返してしまう患者様にとって長期的な症状の安定が期待できます。早期の診断、治療を目指し、長期的な寛解状態の維持をサポートいたしますのでご相談ください。
統合失調症は10代後半から30代半ばの発症が多く、100人に一人の割合でみられる決して珍しく無い脳の病気です。脳内の神経伝達物質であるドパミンの働きが過剰な状態になると、見えないはずの幻が見えたり、自分の噂や悪口、行動を逐一実況中継される幻聴が聞こえることがあります。真実と異なるが自分では真実であると確信してしまい、考えの修正が困難な、妄想といった精神症状が現れることもあります。考えがまとまらない、記憶力の低下、集中困難、操られる感覚、気分が塞ぎ込む、感情の起伏がなくなる、身の回りのことに無頓着になるといった症状を伴うこともあります。この様な症状は脳内のドパミンと呼ばれる物質の働きが過剰になることで引き起こされており、抗精神薬と呼ばれるドパミンの働きを抑える薬を内服することで症状が徐々に改善します。治療を継続することで一年以内の再発率は1-2割に抑えることが可能である一方で、治療中断した場合の再発率は5-7割に及ぶことが知られており再発を予防するためには少なくとも5年間の薬物療法の継続が推奨されています。
統合失調症には、健康なときにはなかった状態が現れる「陽性症状」と、意欲や喜怒哀楽の表出が減るなど、健康な時にあったものが失われる「陰性症状」、まとまりの無い会話が現れる「思考障害」があります。陽性症状や思考障害は統合失調症と診断する上で必須の症状であり、本人が違和感として訴えることが多く、本人や周囲もその異変に気付くケースが多いですが、陰性症状は慢性の経過で出現し、その障害が目立たないこともあります。
統合失調症で認める軽度の思考障害では、考えや会話がまとまりに欠け、ある話題から別の話題に脱線したり、質問に対して全く関係のない答えをすることがあり、それを連合弛緩と言います。さらに会話に一切まとまりが無くほとんど意味をなさない、重度の思考障害を滅裂思考と呼びます。突然考えや会話が止まってしまう思考途絶も統合失調症で認める思考障害の一つです。
どうしても患者様から「薬を飲んでいると太るから嫌だ」「薬を飲むと眠くなる」「今後妊娠を考えていて内服に不安がある」といった声をいただきます。治療の継続性を少しでも高め、再発予防、社会機能を維持するため副作用を最小限にした患者様の生活スタイルやライフステージに合わせた治療を提案いたします。定期的な血液検査で副作用のモニタリングも行っていますので皆様に身体的な負担を少なくする治療を提供できるように努めています。
繰り返しになりますが、統合失調症は早期の診断、治療開始が重要です。当クリニックは月曜日から日曜日まで毎日新患の受け入れを行っていますのでいつでもご相談ください。